これまでは、金融といえば通貨を発行する国の中央銀行と、
各銀行が繋がり、一般消費者は各銀行に預金したり借入したり
するのが通例でした。我々が預金したものを銀行が貸す、
預金には金利がつき、借入には利子がつく。
まあ、みんなが知っている常識ですよね。
しかし、世界には住所や身分を証明するものを持っておらず、
口座を開設することすらできない人が本当に多くいます。
日本ではあまり実感が湧きませんが。
そこで、仮想通貨を用いた、分散型金融De-Fi(ディーファイ)が
現在クローズアップされ、急成長しています。
De-Fiがあれば、ネット環境下で自身の仮想通貨取引ができ、
銀行口座がなくても通貨のやり取りができる仕組みです。
それでは、分散型金融De-Fi(ディーファイ)を見ていきましょう。
✔この記事でわかること
・分散型金融De-Fiが理解できる
・De-Fiを利用した資産運用
・今後のDe-Fiについて
DeFiとは?
2021年現在、注目を集めるDeFi
2008年の誕生以来、ブロックチェーンは、ビットコインを
はじめとした暗号資産(仮想通貨)、スマートコントラクトを
利用した自動決済システム、ICOやSTOといった資金調達方法、
トークンエコノミー、自立型分散組織(DAO)の形成など、
様々な領域で活用されてきました。
こうした中、金融領域でのブロックチェーン活用方法として、
その功罪を問わず、近年特に注目されているのが
DeFi(ディーファイ)です。
例えば、日本銀行は、決済システムの整備などを
担当する決済機構局から、「自律的な金融サービスの
登場とガバナンスの模索」と題した日銀レビューシリーズを
公開し、その中で既存金融との比較対象としてDeFiを捉え、
そのメリットとリスクについて考察を明らかにしています。
DeFiとは?
DeFi(ディーファイ)とは、ブロックチェーンを用いて、金融機関を介さずに
無人で金融取引を行う仕組みのことです。
Decentralized Financeの略で、”分散型金融”などとも訳されます。
セントラライズドでないファイナンス、ですね (笑)
金融市場には、証券や保険、デリバティブやレンディング
といった様々な金融サービスが存在していますが、
これらはすべて金融機関による中央一括管理でした。
これに対して、DeFiでは、ブロックチェーンを活用することで、
各種金融サービスにおける中央一括管理をなくし、
信用履歴審査や本人確認なしに誰でもサービスを
利用できる仕組みが構築できます。
DeFiの特徴
DeFiには主に3つの特徴があります。
- 金融機関の仲介が不要
- 手数料の安さ
- 地域に左右されず利用可能
最大の特徴は、中央管理者である金融機関の排除です。
これにより、従来、中央管理者が仲介業務を行うことで
発生していた業務コストや手数料を省くことが可能になります。
また、先に記述した個人認証の必要もなくなるんですね。
また、中央管理者が不在であることから、インターネット上
でのやり取りが可能になり、結果として地域に左右されず、
ネット環境があれば利用可能になります。
そもそもブロックチェーンとは?
ブロックチェーンは新しいデータベース(分散型台帳)
ブロックチェーン(blockchain)は、2008年に
サトシ・ナカモトによって提唱された
「ビットコイン」(仮想通貨ネットワーク)の中核技術
として誕生しました。
ビットコインには、P2P(Peer to Peer)通信、
Hash関数、公開鍵暗号方式など新旧様々な技術が
利用されており、それらを繋ぐプラットフォームとしての
役割を果たしているのがブロックチェーンです。
ブロックチェーンの定義には様々なものがありますが、
ここでは、「取引データを適切に記録するための形式やルール。
また、保存されたデータの集積(≒データベース)」
として理解していただくと良いでしょう。
「取引履歴」を順番に、ルールどうりに鎖のようにつなげて、
取引履歴を維持していくものです。
結果として、取引履歴のデータベースができあがるのです。
ブロックチェーンはデータベースの一種であり、
その中でも特に、データ管理手法に関する新しい形式や
ルールをもった技術です。
ブロックチェーンは、セキュリティ能力の高さ、
システム運用コストの安さ、非中央集権的な性質
といった特長から、「第二のインターネット」とも
呼ばれており、近年、フィンテックのみならず、
あらゆるビジネスへの応用が期待されています。
ブロックチェーンの特長・メリット(従来のデータベースとの違い)
ブロックチェーンの主な特長やメリットは、下記3点です。
①非中央集権性
②データの対改竄(かいざん)性
③システム利用コストの安さ
これらの特長・メリットは、ブロックチェーンが
従来のデータベースデータとは異なり、システムの
中央管理者を必要としないデータベースであることから
生まれています。
ブロックチェーンと従来のデータベースの主な違いは次の通りです。
従来のデータベースの特徴 | ブロックチェーンの特徴 | |
構造 | 各主体がバラバラな構造のDBを持つ | 各主体が共通の構造のデータを参照する |
DB | それぞれのDBは独立して存在する | それぞれのストレージは物理的に独立だが、Peer to Peerネットワークを介して同期されている |
データ共有 | 相互のデータを参照するには新規開発が必要 | 共通のデータを持つので、相互のデータを参照するのに新規開発は不要 |
ブロックチェーンは、後に説明する特殊な仕組みによって、
「非中央集権、分散型」という特徴を獲得したことで、
様々な領域で注目・活用されているのです。
👉参考記事:『ブロックチェーン(blockchain)とは?仕組みや基礎知識をわかりやすく解説!』
DeFiの事例
DEX(分散型取引所)
DeFiの例として最もわかりやすいものが、
「Uniswap」や「Pancakeswap」に代表される
DEX(Decentralized Exchange:分散型取引所、デックス)です。
DEXとは、主にイーサリアムのスマートコントラクトを活用して
構築された取引所のことで、DEX市場の月間取引量は、
2020年時点ですでに4,000億円を越えるほど拡大しており、
関連するトークンも高騰しています。
通常、暗号資産の取引所は、日本のbitFlyerやCoincheckの
ような特定の企業が世界中で運営しています。
これに対して、DEXでは、ブロックチェーンの
スマートコントラクト機能により、中央一括管理を
行う金融機関を必要とせず、流動性の供給から、
取引の約定に至るまで、一連のプロセスのほとんどが
自動的に処理されています。
レンディング(貸付)プラットフォーム
これまでの銀行による代表的な金融サービスの一つが
レンディング(貸付)です。
銀行からお金を借りた経験がある方は多いのではないでしょうか。
これに対して、DeFiでは、スマートコントラクトを用いることで
銀行などの仲介業者を排除することができ、不要な”中抜き”が
なくなることで、借り手にとっても貸し手にとってもメ
リットのある取引を実現することができます。
また、Compound(コンパウンド)やArve(アーべ」)
といったプラットフォームでは、信用情報なしに
資金調達を行えるというメリットもあります。
ステーブルコイン
DeFiにより、イーサリアムのネットワーク通貨
”イーサ(ETH)”を担保に、米ドル(USD)と価値が
紐づくステーブルコインを発行し保有することができる
サービスも登場しています。
ステーブルコインとは、国際通貨に連動して価格変動し、
その差が少なくなるよう設計された暗号資産(仮想通貨)の総称です。
ビジネスで利用する通貨には、価格が安定していることが必要です。
通貨の価格が大きく変動すると、保有する通貨の
価格変動リスクについても考慮し続ける必要が出てくるのです。
よって、比較的安定的に運用できるステーブルコインは、
仮想通貨の浸透に伴って、今後より重要視されていくでしょう。
DefiのPoolとは
実は、DEX(分散型取引所)は昔から存在はしていたのですが
ユーザーの利便性の低さから、利用が多くなかったようです。
なぜかというと、従来のDEXの多くは板形式(板取引)を行っており、
ユーザーの希望価格を一覧にして並べて取引する形式をとっていた。
しかしこの形式では流動性が低い場合に、希望額での売買が難しかったようです。
これを解決するため、Uniswapでは流動性を担保するためのPoolという仕組みを作りました。
Poolni入っている暗号資産を「借りたい人」が、
賃借料を払って暗号資産を借り、支払った金利手数料を
「貸し手が利回りとして受け取る」ことができるのです。
利回りが生まれるわけですから、金融商品と同じですね。
この仕組みはイールドファーミングともいわれます。
また、金利分はDEXから指定のトークンという形でもらえます。
手数料を得るためにPoolが利用され、それにより流動性が
各段に上がり、取引の利便性が爆発的に高まったようです。
Defiに資金をPoolして利益を得る具体的な方法
続いては、DefiのPoolを利用して利益を得る方法について詳しく解説していきます。
国内取引所でイーサリアムを購入する
購入したイーサリアムをイーサリアムウォレットへ送金する
イーサリアムウォレットとDefiサービスを結びつける
分散型取引所にて、自分の資金を貸し付ける
それでは、解説していきます。
国内取引所でイーサリアムを購入する
基本的にDeFiはイーサリアム上のブロックチェーンで提供されています。
そのため、イーサリアムを用意する必要がありますので、国内取引所のコインチェックでイーサリアムを購入しましょう。
※ただし、PancakeSwapの場合はイーサリアムではなくBNB(バイナンスコイン)を用意する必要があり、これはBinanceのみで購入が可能です。
- コインチェックの口座開設を行う
- コインチェックに資金を入金する
- 入金後、イーサリアムを購入する
まずはコインチェックの公式サイトにて、無料の口座開設を行ってください。
口座開設が完了したら、素早く取引を完了させるためにも本人確認を当日中に行いましょう。
本人確認が受理されたら、資金を入金しイーサリアムを購入しましょう。
購入したイーサリアムをイーサリアムウォレットへ送金する
次に、購入したイーサリアムはイーサリアムウォレットへ送金しましょう。
イーサリアムウォレットとは、購入したイーサリアムを保管することができるウォレットサービスのことを指しています。
イーサリアムウォレットは複数サービスが存在していますが、本記事では「MetaMask」を使用して解説していきます。
MetaMaskでは、イーサリアムをウェブブラウザ上で管理・保管することが可能です。
購入したイーサリアムをMetaMaskに送金するためには、手数料が発生しますので、送金前に予め確認しておきましょう。
イーサリアムウォレットとDefiサービスを結びつける
購入したイーサリアムをイーサリアムウォレットに送金することができたら、MetaMaskとDefiサービスを結びつける必要があります。
先ほど紹介したPancakeSwapではバイナンスのスマートチェーン上で動くAMMとなっているため、他のイーサリアムベースのAMMと仕様が違いますので注意してください。
通常のイーサリアムのスマートチェーン上で展開されているAMMの場合は「APP」というボタンから選んで提携することができます。
上記はレンディングのDeFiを提供しているCompoundですが、Compoundの公式サイトへ遷移すると右上にAPPというボタンがあります。
こちらをクリックすると、提携できるウォレットを選択することができますので「Metamask」を選んで提携させましょう。
Compoundの始め方や使い方でも詳しく解説しているので、是非合わせて確認してみてください。
分散型取引所にて、自分の資金を貸し付ける
提携が完了したら、希望するトークンを選択して自分の資金をプールしていきましょう。
基本的に手数料収入は提供されているサービスのガバンナンストークンで受け取ることが可能です。
- Uniswap:UNI
- Compound:COMP
- PancakeSwap:CAKE
受け取ったガバナンストークンは好きなように売却することができますし、保有してさらなる値上がりを期待して保有することが可能です。
Defiでどれくらい稼ぐことができるのか
次にDeFiでどれだけの収益をあげられるのかを解説していきます。
DeFiは基本的にAPY15%〜20%のステーブルコインをプールしたとしても、収益性は資金量に依存します。
そのため、資金量が少ないという方では高い利益を得ることは難しいのが現状です。
少なくとも50万円以上の資金がある方にとって、魅力的な金融商品と言えます。
期間 | ROI(収益率) |
---|---|
1日 | 0.06% |
7日 | 0.40% |
30日 | 1.71% |
365日 | 22.97% |
from PancakeSwap
上記がステーブルコインの資金プールを行った時の収益率になります。
この数字をベースに資金ごとで分けた1年間運用した時の、増加幅も見ていきましょう。
資金額 | 1年後 | 増加幅 |
---|---|---|
10万円 | 122,000円 | 22,000円 |
50万円 | 610,000円 | 11,000円 |
100万円 | 1,220,000円 | 220,000円 |
300万円 | 3,660,000円 | 660,000円 |
500万円 | 6,100,000円 | 1,100,000円 |
1000万円 | 12,200,000円 | 2,200,000円 |
3000万円 | 36,660,000円 | 6,660,000円 |
3月時点の利率が継続するとなると、収益の増加幅は表のようになります。
かなり高い収益性が期待できるということがわかりますね。
ただし、提示されているAPYは毎日変動するので、仮想通貨の相場やプールされている資金の量によって現在の利率よりも低くなるという可能性がある点に注意してください。
今後のDefiについて
スマートコントラクトの利用により、今後は
ますます技術の進歩は加速していきます。
WEB3.0の普及に伴い、徐々に現状の金融から
分散型金融の一般化が進むでしょう。
国の通貨や中央集権型の金融機関を利用する
現在の流れから、WEB上で分散型金融を個人が利用し、
取引時間の短縮や手数料の減少、個人情報の保護などが
今後ますます進んでくると考えられます。
便利な時代が来るね!
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